タクロリムス点眼はKCSの犬の涙液量を増加させるか?
乾燥性角結膜炎の犬においてタクロリムス0.02%水溶性懸濁剤の局所適用が涙液産生に及ぼす影響
Effect of topical 0.02% tacrolimus aqueous suspension on tear production in dogs with keratoconjunctivitis sicca
Berdoulay A, English RV, Nadelstein B. Effect of topical 0.02% tacrolimus aqueous suspension on tear production in dogs with keratoconjunctivitis sicca. Vet Ophthalmol. 2005;8(4):225-232. doi:10.1111/j.1463-5224.2005.00390.x / PMID: 16008701
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目的:
乾性角結膜炎(KCS)のイヌにおいて、タクロリムス0.02%水溶性懸濁剤が涙液産生に及ぼす効果について調査すること。研究された動物 :KCSと診断された105頭のイヌ[シルマー・ティアー・テスト(STT)10mm/分およびドライアイの臨床徴候]。STTがわずかに低下した眼(11-15mm/分)およびドライアイの臨床徴候がある眼についても評価した。
手順:
調査は2つにパートで分けて実施された。最初に有効性に関する研究を実施し、次に二重盲検対照研究を実施した。 有効性試験では、原発性KCSのイヌにおける局所タクロリムス(以前のFK-506)が涙液産生に及ぼす効果を評価した。イヌは4つのカテゴリーに分けられた。1) 最初のSTTが10mm/分未満で涙液刺激療法を受けたことがない59眼(犬38頭);2)最初のSTTが11-15mm/分で涙液刺激療法を受けたことがない28眼(犬21頭);3)CsA療法で良好に維持されている30眼(犬15頭);4)CsA療法に反応しなかった47眼(犬24頭)。STTおよび臨床徴候を、タクロリムス1日2回投与前、6-8週間後に評価した。カテゴリー3および4でCsAの代わりにタクロリムスを用いた。対照研究では、原発性KCSに罹患した犬20頭において、局所タクロリムス水溶懸濁剤と水溶性媒体のみの投与が涙液産生に及ぼす影響を比較した。
結果:
有効性試験において,STTはタクロリムス投与後,それぞれカテゴリー1、2、3、及び4の眼の84.7%,25.0%,26.7%及び51.1%で5mm/分増加した。最初のSTTが極端に低かった(<2mm/分)眼の83%で、タクロリム投与に5mm/分以上に増加していた。 対照試験では、タクロリムスを投与された7/10匹のイヌ(14/20眼)でSTTが5mm/分増加し、水溶性媒体のみを投与された犬10頭のうちSTTが増加したものは無かった。水溶性媒体のみを投与した犬を、その後タクロリムスで治療すると、投与後に犬9頭(18/20眼)でSTTが5mm/分以上増加した。
結論:
水性懸濁液中の0.02%タクロリムスの1日2回投与はKCSのイヌにおいて涙液産生を効果的に増加させた。 局所タクロリムスは、KCSの治療のための局所CsAの有望な代替薬であり、局所CsAに対する最適な反応が得られない患者に有益である可能性がある。