犬の乾性角結膜炎はどんな症状を示す?
犬の乾性角結膜炎: 229症例の再評価による疾患の傾向
Canine keratoconjunctivitis sicca: disease trends in a review of 229 cases
Sanchez RF, Innocent G, Mould J, Billson FM. J Small Anim Pract. 2007;48(4):211-217. doi:10.1111/j.1748-5827.2006.00185.x / PMID: 17381766
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目的:
グラスゴー大学小動物病院に紹介された乾性角結膜炎のイヌの疾患パターンを調べること。
方法:
229例の後ろ向き研究を行った。
結果:
この研究には44犬種が含まれており、そのうちイングリッシュ・コッカー・スパニエル、キャバリア・キングチャールズ・スパニエル、ウェストハイランド・ホワイトテリア、シーズーの4犬種が症例の58%を占めていた。 これらの4犬種の中には犬種依存性の疾患パターンが2種類検出され、一方は慢性、もう一方は急性疾患であった。 イングリッシュ・コッカー・スパニエルとウェストハイランド・ホワイトテリアの臨床症状発生平均年齢は、各々5歳1ヶ月齢と5歳6ヶ月齢であり、雄よりも雌の罹患が多かった。 臨床症状は主に結膜充血と粘液膿性眼脂が優勢であり、潰瘍性角膜炎は比較的頻度が低かった。 一方で、キャバリア・キングチャールズ・スパニエルとシーズーではより急性疾患パターンが認められ、0-2歳未満と、キャバリア・キングチャールズ・スパニエルでは4-6歳未満、シーズーでは6-8歳未満に二峰性の年齢分布が認められ、また雌よりも雄の方が多く、潰瘍性角膜炎の頻度が有意に高く、その結果角膜穿孔を生じる症例もいた。
臨床的意義:
この研究は、性別、年齢、潰瘍性角膜炎のリスクにおいて過去の紹介症例群では詳述されていなかった犬種間の相違を明らかにした。