イヌジステンパーウイルスによる乾性角結膜炎
イヌジステンパーウイルス誘発性乾性角結膜炎
Conjunctival effects of canine distemper virus-induced keratoconjunctivitis sicca
de Almeida DE, Roveratti C, Brito FLC, et al. Vet Ophthalmol. 2009;12(4):211-215. doi:10.1111/j.1463-5224.2009.00699.x / PMID: 19604335
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目的:
この研究では、イヌジステンパーウイルス(CDV)誘発性乾性角結膜炎(KCS)と非感染性KCSの結膜組織における組織学的所見を比較した。
調査する動物:
雑種犬40頭を3つの異なる群に分けた:(i)非感染性KCS(G1、n=10)(ii)CDV誘発性KCS(G2,n=20)、および(iii)眼の異常が見られない健常犬(G3、n=10)。
方法:
IgG値および身体検査や眼科検査(例えばシルマー涙液試験[STT]、眼圧測定、生体顕微鏡検査、間接生体顕微鏡検査およびフルオレセイン試験)をすべての犬で実施した。結膜を生検で採取し、顕微鏡下で評価した。
結果:
非感染性KCSおよびCDV誘発性KCSとも同様の組織学的変化を示した。いずれのタイプのKCSもSTTは低く、結膜充血、膿性眼脂、広範囲のリンパ球形質細胞性浸潤、および眼表面の棘融解や角化に関連していた。G1はG3よりも結膜杯細胞数が低かった。封入体はG2由来の犬の結膜サンプル内で散見された。G1およびG2の眼疾患の重症度と組織学的所見に相関性はなかった。
結論:
非感染性KCSおよびCDV誘発性KCSを伴う犬は、結膜の組織病理学的所見が非常に類似していた。我々の結果から、CDV誘発性KCSの病態生理学は非感染性KCSすなわち、涙液欠乏および眼表面に起こる炎症の結果と同様であると思われる。