テトラサイクリン眼軟膏は犬難治性角膜潰瘍の治療を補助するか?
犬の難治性角膜潰瘍に対する補助的なテトラサイクリンによる治療のin vivoでの効果
In vivo effects of adjunctive tetracycline treatment on refractory corneal ulcers in dogs.
Chandler HL, Gemensky-Metzler AJ, Bras ID, Robbin-Webb TE, Saville WJA, Colitz CMH. J Am Vet Med Assoc. 2010;237(4):378-386. doi:10.2460/javma.237.4.378 / PMID: 20707747
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目的:
治癒しにくい(すなわち、難治性)角膜潰瘍に罹患した犬における角膜の完全な再上皮化までの時間に対する、テトラサイクリン類似物質による補助的治療の効果を評価すること。
研究デザイン:
無作為化対照臨床試験。
動物:
難治性角膜潰瘍に罹患した犬89頭。
方法:
角膜潰瘍をデブリドメンと格子状角膜切開術により治療した。6週間まで3つの治療法、すなわちネオマイシン、ポリミキシンB とバシトラシン(すなわち、3種の抗生物質軟膏;q8h)を含む眼軟膏とドキシサイクリン(5mg/kg[2.27mg/lb]、PO、q12h)、オキシテトラサイクリン眼軟膏(q8h)とセファレキシン(22mg/kg[10mg/lb]、PO、q12h)、あるいは3種の抗生物質眼軟膏とセファレキシン(22mg/kg、PO、q12h)の対照治療の内の1つを受けるよう犬を割り当てた。治癒は2週毎のキャリパーによる創傷径の計測と撮影した写真の評価によってモニターした。治療の効果を創傷治癒と疼痛症状の減少により評価した。
結果:
ボクサー犬は全てのグループで大きな比率を占めていた。2週間の時点で、大型犬と比較して、小型犬の方が有意に多く創傷治癒した。オキシテトラサイクリン眼軟膏により治療を行った犬は対照治療を行った犬よりも、有意に治癒までの期間が短かった。ドキシサイクリン POにより治療を行った犬の角膜潰瘍は対照治療グループの犬の潰瘍よりも急速に治癒した。しかし、この差は有意ではなかった。
結論と臨床的意義:
テトラサイクリン眼軟膏の点眼は犬の難治性角膜潰瘍に対する安全で、安価な、そして効果的な補助的治療であった。