神経原性乾性角結膜炎(KCS)の犬のケースレポート
犬の神経原性乾性角結膜炎:11症例(2006-2010)
Canine neurogenic Keratoconjunctivitis sicca: 11 cases (2006-2010).Matheis FL, Walser-Reinhardt L, Spiess BM. Vet Ophthalmol. 2012;15(4):288-290. doi:10.1111/j.1463-5224.2011.00968.x. PMID: 22051024
目的:
神経原性乾性角結膜炎(KCS)と他の神経障害のない同側性のドライノーズの犬の臨床データを記述すること。
方法:
2006年から2010年の間に神経性KCSと同側のドライノーズと診断された11頭の犬で後ろ向き症例研究を行った。 犬種、年齢、性別、病歴、神経原性KCSの疑われる原因、臨床症状、治療様式について医療記録をレビューした。 フォローアップ情報は、紹介元の獣医師、あるいはオーナーに対する電話での聞き取り、あるいは犬の再検査で入手した。
結果:
犬の平均年齢は6.6±4.5歳だった。 神経原性KCSは10種の異なる犬種からなる3頭メス、5頭避妊済みメス、1頭オス、2頭去勢済みオスで診断された。 同側のドライノーズに伴ったKCS(平均シルマー涙試験(STT)値1.9±2.9mm/分)の眼症状は7頭が左眼、4頭が右眼で診断された。 神経原性KCSの原因として疑われたものは、9頭が特発性、2頭が外傷だった。 全身療法はピロカルピン1-2%点眼液の経口投与で、症例によりシクロスポリン0.2%と涙代用液の点眼治療を行った。 治癒までのピロカルピン全身投与の期間は5頭の犬で125日(範囲84-204日、中央値98日)だった。 1頭の犬はフォローアップができず、残りの5頭はいまだピロカルピンの全身投与の治療を行っている。
結論:
同側のドライノーズを伴う神経原性KCSは、犬種傾向がなく、大部分は中年齢のメス犬の特発性疾患と思われ、自然に回復する症例もいる。