犬の突発性後天性網膜変性症候群における光受容体のアポトーシス

Photoreceptor cell death by apoptosis in dogs with sudden acquired retinal degeneration syndrome

犬の突発性後天性網膜変性症候群における光受容体のアポトーシス

Miller PE, Galbreath EJ, Kehren JC, Steinberg H, Dubielzig RR. Photoreceptor cell death by apoptosis in dogs with sudden acquired retinal degeneration syndrome. American Journal of Veterinary Research. 1998;59(2):149-152. PMID:9492927

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目的

犬の突発性後天性網膜変性症候群(SARDS)での網膜光受容体の変性におけるアポトーシスの役割を調べること。

サンプル

SARDSの3頭、および臨床的に正常な成犬2頭の網膜。

方法

アポトーシスはin situによるend-labeling検査キットと、光学顕微鏡による特徴的な形態学的変化を観察することにより確認した。

結果

光受容体変性の程度はSARDSに罹患した眼の視力喪失期間により変化した。SARDSに罹患した3頭全ての眼では、網膜組織切片上にアポトーシスを起こした核が多数(34,61,70)みられ、それらは網膜外核層に存在した。正常犬の同じサイズの網膜組織切片上には、アポトーシスを起こした核は認められないか、もしくは稀であった。炎症はSARDSの特徴的な所見ではなかった。

結論

犬のSARDSにおける光受容体細胞死は、少なくともアポトーシスが1つのメカニズムであると考えられる。

臨床的意義

多くの網膜変性症候群においてアポトーシスは共通の最終経路と考えられる事から、アポトーシスをコントロールするといった他疾患で行なわれる将来的な治療方法が、SARDSの犬にも適応できるかもしれない。このアポトーシスの過程を抑制することで光受容体の一部を生存させ、視覚を温存できる可能性がある。

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