EBM(Evidence-Based Medicine: エビデンス・ベースド・メディスン)は目の前の患者にとってより良い医療を行うためのツールであり行動指針です。

臨床現場で以下の5 つのステップを踏んでいくことでEBM を実践することができます。

EBM

5つのステップが具体的にそれぞれどのようなものなのか見ていきましょう。

ここでは先ずステップ1と2について説明していきます。

STEP 1 問題の定式化

実際の臨床現場では、個々の患者に対する医療行為における様々な問題に遭遇します。 このような目の前の患者固有の問題は、学問的で一般的な問題とは異なり教科書では解決できません。そこで情報を収集しますが、何が問題なのかを明確にしなければ調べようがありません。

ここでの問題の定式化とは、 臨床現場での個々の患者に対する曖昧な問題点や疑問点を抽出し明確化することを目的としています。そのためにこのSTEP 1では「PICO」が使われます。PICOとは 4つの要素に分けて問題を定式化するフォーマットです。この形に整理して考えることで、問題の焦点が明確になリ、自ずと探すべき情報も絞リ込めます。

PICOを使った疑問の定式化

Patient (患者)  どんな患者に

Intervention (介入)  どんな介入(治療・検査など)をすると

Comparison (比較対照)  何と比較して

Outcome (結果)  どうなるか

 

STEP 2 情報収集

情報を収集する際には、同僚や先輩に相談してアドバイスをもらったリ、講演会で聞いた情報や査読なしの商業誌(基本的に著者が好きなように書いて良い)に掲載されている情報を参考にしたリすることが多いかもしれません。これらの情報源は、はたして最善のエビデンスといえるのでしょうか。

最善のエビデンスとは以下の2 条件を満たしているものといわれています。

①情報の質が高い(内的妥当性が高い)

②目の前の患者に適用可能である(外的妥当性が高い)

上記のような情報源は、この2つの条件を明らかに満たしていなかったり、そもそもこれらに関する検証が不可能であったりするため、最善のエビデンスとはいいがたいです。

原著論文(一次資料)の情報を評価・集約した情報源を二次資料と呼びますが、獣医学領域(特に眼科学)では有用な二次資料は見当たりません。また、複数の原著論文を評価・集約した系統的文献レビュー systematic review(システマティック・レビュー) や meta-analysis(メタアナリシス)は医学領域と比較して非常に少ないのが現状です。そのため、医学領域では可能な『まず疑問に関連するシステマティック・レビューを読む』というアプローチが獣医学領域では多くの場合不可能です。そこで自身でPubmedなどのデジタルデータベースを用い、 PICOで定式化した問題に関連する原著論文を検索して質の高いエビデンスを得る努力をする必要があります。

 

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