日本秋田犬2頭におけるぶどう膜皮膚症候群の免疫組織化学的研究
An immunohistochemical study of uveodermatologic syndrome in two Japanese Akita dogs.
日本秋田犬2頭におけるぶどう膜皮膚症候群の免疫組織化学的研究
Carter WJ, Crispin SM, Gould DJ, Day MJ. An immunohistochemical study of uveodermatologic syndrome in two Japanese Akita dogs. Vet Ophthalmol. 2005;8(1):17-24. PMID:15644096
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材料
ぶどう膜皮膚症候群(UVD)に罹患した日本秋田犬2頭の眼球および皮膚組織を免疫組織化学的に分析した。
結果
眼球の光学顕微鏡検査によって、重篤度の異なる汎ぶどう膜炎が確認された。浸潤細胞は主に肉芽腫性であり、著明な血管周囲性のリンパ球浸潤を伴っていた。病変部位の各所にメラノファージが存在しており、プラズマ細胞が散在していた。CD79a、CD3、MAC387、MHC ClassⅡマーカーを使った免疫組織化学染色によって、Tリンパ球は比較的少数で、ほとんどのリンパ球はB細胞系であることが示唆された。また、検査した2つの皮膚生検は皮膚病態の異なるステージを表していると思われた。症例1の生検は、過剰なT細胞の上皮内への浸潤を伴う肉芽腫性皮膚炎を含めて、犬のUVD症候群の皮膚病変として報告されている特徴と一致していた。一方で、症例2の皮膚病変では、炎症は少なく、色素の脱落および皮膚線維化の所見が多く認められた。皮膚あるいは眼球病変内には、いかなる免疫グロブリン及び補体の蓄積は認められなかった。
結論
これらの2つの症例の所見から、これらのUVD症候群に罹患した犬2頭の皮膚病変ではT細胞およびマクロファージ(Th1免疫)が介在していたが、眼病変はB細胞およびマクロファージを伴う反応(Th2免疫)に、より一致していたことが示唆された。しかしながら、これは先行研究であり、これらの特徴がUVD症候群の全ての症例で同様とは限らない可能性がある。
(Table1より 症例の免疫染色のまとめ)