プロスタグランジンとコリン作動薬に関連した縮瞳による犬の毛様体裂の形態における影響
Effects of prostaglandin-mediated and cholinergic-mediated miosis on morphology of the ciliary cleft region in dogs.
プロスタグランジンとコリン作動薬に関連した縮瞳による犬の毛様体裂の形態における影響
Effects of prostaglandin-mediated and cholinergic-mediated miosis on morphology of the ciliary cleft region in dogs. 2018;79(9):980-985. doi:10.2460/ajvr.79.9.980. PMID: 30153051
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To compare morphology of the ciliary cleft (CC) region in dogs after topical administration of latanoprost, pilocarpine, or a combination of latanoprost and pilocarpine.
ANIMALS:
6 Beagles.
PROCEDURES:
A prospective 4-phase crossover study with washout periods was performed. Latanoprost (phase L), pilocarpine (phase P), pilocarpine followed by latanoprost (phase PL), and latanoprost followed by pilocarpine (phase LP) were administered to the right eye. Artificial tears were administered to the left eye (control eye). For each phase, pupil diameter and intraocular pressure (IOP) were measured and ultrasonographic biomicroscopy was performed 2 hours after topical treatment. Angle opening distance (AOD), ciliary cleft width (CCW), ciliary cleft length (CCL), and ciliary cleft area (CCA) were evaluated.
RESULTS:
All treated eyes had marked miosis without significant differences in pupil diameter among phases. Significant IOP reductions were detected for all phases, except phase P. The AOD and CCA were significantly increased in all phases for treated eyes, compared with results for control eyes. The CCW was significantly increased in phases P, PL, and LP; CCL was significantly increased in phases PL and LP. Comparison of treated eyes among phases revealed that CCW differed significantly between phases L and P and between phases L and PL.
CONCLUSIONS AND CLINICAL RELEVANCE:
Prostaglandin-mediated and cholinergic-mediated miosis caused variations in CC configurations. When latanoprost and pilocarpine were used in combination, the first drug administered determined the cleft morphology, which was not fully reversed by the second drug. The CC morphology did not fully explain IOP reductions.
ラタノプロスト、ピロカルピン、またはラタノプロストとピロカルピンの併用投与後のイ裂(CC)領域の形態を比較する。
動物:
6頭のビーグル犬。
手順:
ウォッシュアウト期間を含めた4フェーズのクロスオーバー試験を実施した。ラタノプロスト(フェーズL)、ピロカルピン(フェーズP)、ピロカルピン、ラタノプロスト(フェーズPL)、ラタノプロスト、続いてピロカルピン(フェーズLP)を右眼に投与した。人工涙液を左眼(対照眼)に投与した。各フェーズについて、瞳孔径および眼圧(IOP)を測定し、点眼薬投与の2時間後に超音波顕微鏡検査(UBM)を行った。虹彩角膜角距離(AOD)、毛様体裂幅(CCW)、毛様体裂長(CCL)および毛様体裂領域(CCA)を評価した。
結果:
処置されたすべての眼は、フェーズ間の瞳孔径に有意差がなく、顕著な縮瞳を示した。フェーズPを除いて、すべての段階で有意なIOPの減少が検出された。AODおよびCCAは、対照眼の結果と比較して、処置された眼のすべてのフェーズで有意に増加した。 CCWはP期、PL期、LP期で有意に増加した。 CCLは、フェーズPLおよびLPにおいて有意に増加した。フェーズ間の処置された眼の比較は、CCWがフェーズLおよびP間およびフェーズLおよびPL間で有意に異なることを明らかにした。
結論と臨床的な関連:
プロスタグランジン介在性およびコリン作動性の縮瞳は、CCの形態的な変化を引き起こした。ラタノプロストとピロカルピンを組み合わせて使用した場合、初めに投与された薬物が毛様体裂の形態を決定し、その後の薬物によって完全には元の状態に戻らなかった。 CCの形態は、IOPの減少を完全には説明しなかった。
ラタノプロストは毛様体筋弛緩により眼房水のぶどう膜強膜路を促進すると考えられており、一方ピロカルピンは毛様体筋収縮により強膜岬を牽引し、線維柱帯網を介した流出を促すと考えられています。また、両剤を同時に使用した場合に、眼圧(IOP)の降下作用が単剤よりも認められるとのヒトでの報告がありますが、犬での研究はほとんど報告がありません。
そこで著者らは、6頭の正常ビーグル犬にラタノプロスト、ピロカルピンまたは両剤を点眼し、眼圧と超音波生体顕微鏡(UBM)を用いた毛様体裂の形態変化を調べました。
研究デザインは非ランダム化非盲検のクロスオーバー研究です。Limitationとしては、Discussionで述べられているもの(サンプルサイズが小さいため統計学的有意差が検出できなかったこと、薬剤に対する反応性に個体差があったことなど)に加えて、隅角検査の有無や動物の性差や年齢が明記されていないことがあげられます。さらに、UBMでは画像の取得時におけるポジショニングや取得条件などのバイアスが、その後の画像解析(1つの画像に対して5回実施)よりも大きいと考えられますが、1検査につき何枚の画像を取得したのかが不明であり、解析された画像が適切なものなのかが判断できません。結果として、ラタノプロストもピロカルピンも縮瞳を誘引し、眼圧を低下させ、毛様体裂における形態学的変化を起こすことが示されました。