Funduscopic findings following cataract extraction by means of phacoemulsification in diabetic dogs: 52 cases (1993-2003)

糖尿病の犬における水晶体超音波乳化吸引術による白内障術後の眼底検査所見:52症例(1992~2003年)

Landry MP, Herring IP, Panciera DL. Funduscopic findings following cataract extraction by means of phacoemulsification in diabetic dogs: 52 cases (1993-2003). J Am Vet Med Assoc. 2004;225(5):709-716. PMID: 15457664

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目的

水晶体超音波乳化吸引術を実施した糖尿病の犬52頭における網膜出血および微小動脈瘤の発生率を調査し、さらに潜在的な危険因子を確認すること

デザイン

回顧的研究

動物

糖尿病の犬52頭と非糖尿病犬174頭

手順

1993〜2003年の期間に水晶体超音波乳化吸引術を受けた犬のカルテをレビューし、シグナルメント、既往歴、身体検査所見、眼科検査所見、臨床病理検査結果、網膜電図所見、および手術時所見を記録した。血糖値コントロールは、ベースラインの血糖値、周術期の体重減少、一日のインスリン用量、尿糖およびケトン尿の有無に基づいて、不良、中程度、良好に分類した。糖尿病と非糖尿病犬のデータは、水晶体超音波乳化吸引術後の網膜出血および微小動脈瘤の発生率とリスクファクターを決定するために解析を行なった。

結果

網膜出血あるいは微小動脈瘤に関する眼底所見が認められたのは、同時期に水晶体超音波乳化吸引術を実施した非糖尿病犬では174頭のうち1頭(1/174; 0.6%)であったのに対し、糖尿病に罹患した犬では52頭のうち11頭(11/51; 21%)であった。糖尿病の発症から網膜症と診断されるまでの期間の中央値は1.4年間(範囲は0.5~3.2年間)であった。網膜症の発症に関するリスクファクターは確認されなかった。

結論と臨床的意義

結果から、糖尿病の犬では、以前に報告されていたよりも網膜出血および微小動脈瘤は多く、初期に発症する可能性のあることが示唆された。血糖値コントロールが良好であれば糖尿病の犬は長生きをすることを考慮すると、この点は治療に影響するかもしれない


 

Experimental Design Retrospective cohort
P 糖尿病の犬52頭
I 水晶体超音波乳化吸引術
C 糖尿病でない犬174頭
O 白内障手術後の網膜出血および微小動脈瘤の発生率と潜在的な危険因子

除外基準: 5頭の非糖尿病犬が術後の眼科検査がなかった、もしくは眼底検査が実施できなかったため除外。

主要なアウトカム

  • 52頭の糖尿病犬のうち、12/52 (23%)が雑種。11頭がラブラドール・レトリーバー(21%)、3頭がシュナウザー(6%)。
  • 網膜出血あるいは微小動脈瘤に関する眼底所見が認められたのは、同時期に水晶体超音波乳化吸引術を実施した非糖尿病犬では1/174頭(6%)であったのに対し、糖尿病に罹患した犬では11/52頭(21%)であった。
  • 網膜出血あるいは微小動脈瘤が認められた糖尿病の犬4頭で病変は最後の眼科検査時に初めて認められた(4/11)。その他の7頭では定期的なフォローアップ期間中(最後の検診を含め、数回の再診時)に病変が一貫して認めらていた。
  • 11頭全ての網膜出血あるいは微小動脈瘤が認められた糖尿病の犬で、タペタム領域に病変が存在した。

Limitation(研究の限界)

  • 間接眼底検査は網膜出血あるいは微小動脈瘤に対して検出感度が高くない。蛍光眼底造影法はより検出感度を高める為に有用であるかもしれない。
  • 手術後のカルプロフェンの投与が影響しているかもしれない。
  • 白内障手術そのものが病変の原因になっているかもしれない。
  • 高血圧症が除外されていない。

バイアスのリスク

  • (白内障のため実施困難と推測されるが)術前の眼底検査結果の記録はされていない。手術以前から病変があったのか、明らかではない。

 

 

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