健常犬の新生仔における涙液産生と眼圧の発達

Development of tear production and intraocular pressure in healthy canine neonates

健常犬の新生仔における涙液産生と眼圧の発達

Verboven CAPM, Djajadiningrat-Laanen SC, Teske E, Boevé MH. Development of tear production and intraocular pressure in healthy canine neonates. Vet Ophthalmol. 2014;17(6):426-431. PMID:25041368

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目的

この研究の目的は、2週から12週齢の健常な犬の新生仔における眼圧と水性涙液産生の発達を調査することだった。

動物

同腹の8頭の健康なビーグル犬(雌4頭、雄4頭)を使用した。

方法

2週齢から12週齢の間で、涙液産生量と眼圧を両眼で週1回測定した。涙液産生量はシルマーティアテスト(STT)を使用し、点眼麻酔と結膜嚢の乾燥前(STT1)後(STT2)で測定した。眼圧(IOP)は反跳式眼圧計で測定した。全ての時点で左右の眼の測定値(STT1、STT2、IOP)に有意な差を認めなかったため、右眼の測定値だけをさらに解析した。

結果

STT1は9週齢まで、 STT2は10週齢まで有意に増加し、IOPは6週齢まで、そして再び10週齢と11週齢の間に有意に増加した。IOPは11週齢と12週齢の間で有意に減少した。 10週齢と12週齢のIOPを除き、雌雄間でSTT1、STT2、IOPに有意差はなかった。体重とSTT1あるいはSTT2の間に有意な相関は見られなかった。

結論

STT1、STT2、IOPは生後はじめの数週間で有意に増加した。この結果は、犬の新生仔の涙液産生と眼圧には、異なる参照値の確立の必要性があることを示している。

(図2〜4より引用)


Experimental Design Prospective Cohort study
P 同腹の8頭の健康なビーグル犬(雌4頭、雄4頭)
I
C
O 眼圧測定及びSTT

コメント

健常なビーグル犬でSTTとIOPが生後数週間上昇することを報告した研究です。STTや眼圧は日内変動があることが知られています。この研究では、全ての測定は8:00 AMから10:00 AMに実施されていて一貫性があります。飼育室の温度と湿度の記述はありますが、部屋の明暗のサイクルについては述べられていません。この点は日内変動に影響し、測定値に影響があるかもしれません。統計ではANOVAを使用していますが、多重検定補正の記述はありません。この点はこの研究の問題点でしょう。本研究はSTTやIOPの変化を伴う犬の先天性眼疾患の診断には有用な結果を提供しています。

 

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