ネコ角膜壊死症の外科的管理におけるシアノアクリレート接着剤の使用:16例(2011-2018)
Use of cyanoacrylate adhesive in the surgical management of feline corneal sequestrum: 16 cases (2011-2018).
ネコ角膜壊死症の外科的管理におけるシアノアクリレート接着剤の使用:16例(2011-2018)
Pumphrey Stephanie A, Desai Sujata J, Pizzirani Stefano
Veterinary ophthalmology 2019Mar14 / PMID:30869191
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OBJECTIVE:
To evaluate the use of cyanoacrylate adhesive as an adjunct to lamellar keratectomy in cats with corneal sequestrum.
METHODS:
Medical records were reviewed to identify cats with naturally occurring midstromal corneal sequestra treated with lamellar keratectomy and cyanoacrylate adhesive. All cats also had a bandage contact lens placed for postoperative comfort. Data collected included breed, age, sex, and reproductive status of the cat, eye involved, presence or absence of neovascularization at the time of surgery, history of prior sequestra, additional ocular procedures performed, use of neuromuscular blocking agents, procedure time, time to cessation of topical medications, time to recurrence or last follow-up, and complications aside from recurrence.
RESULTS:
Sixteen cats met study criteria, with a median follow-up time of 17.5 months in those without recurrence. Median time to cessation of topical medications was 4 weeks. Fourteen cats (87%) have not experienced recurrence. Other than recurrence in two cats, no significant complications were noted. Aside from purebred status, no commonalities were found between the two cats with recurrence. Neuromuscular blocking agents were not used during surgery in most cases. Median procedure time was 10 minutes.
CONCLUSIONS:
Cyanoacrylate adhesive is an effective and safe alternative to grafting procedures in cats undergoing lamellar keratectomy for treatment of corneal sequestrum. Recurrence rates are comparable to those seen with grafting techniques. Benefits of this approach include decreased anesthesia time, lower procedure costs, and short duration of postoperative treatment.
© 2019 American College of Veterinary Ophthalmologists.
KEYWORDS:
cornea; cyanoacrylate; feline; keratectomy; sequestrum
目的:
角膜壊死症のネコにおける層状角膜切除術の補助としてのシアノアクリレート接着剤の使用を評価する。
方法:
医療記録をレビューして、層状角膜切除およびシアノアクリレート接着剤で治療された自然発症性の実質内角膜分離症の猫を特定した。 すべての猫に、術後の快適のためバンテージコンタクトレンズを装着した。 収集されたデータには、猫の品種、年齢、性別、生殖状態、関与する眼、手術時の血管新生の有無、以前の角膜壊死症のヒストリー、追加の眼科手術、神経筋遮断薬の使用、手術時間、局所薬物療法の中止までの時間、再発までの時間または最後のフォローアップ、および再発以外の合併症が含まれた。
結果:
16匹のネコが研究基準を満たし、フォローアップ期間の中央値は再発のないネコで17.5ヶ月であった。 点眼薬の中止までの期間の中央値は4週間であった。 14匹のネコ(87%)は再発を経験しなかった。 2匹のネコで再発以外に,重大な合併症は認められなかった。 純血種であること以外に、再発した2匹の猫の間には共通点は見つからなかった。 ほとんどの場合、手術中に神経筋遮断薬は使用されなかった。 手術時間の中央値は10分であった。
結論:
シアノアクリレート接着剤は、角膜壊死症の治療のために層状角膜切除を受けた猫のグラフト処置に代わる効果的で安全な代替手段である。 再発率はグラフト法で見られるものと同等であった。 このアプローチの利点には、麻酔時間の短縮、手術コストの削減、および術後治療期間の短縮があげられる。
キーワード:
角膜; シアノアクリレート; ネコ; 角膜切除; 隔離
ネコの角膜壊死症に対する外科的介入には角膜切除術±グラフト処置などがあるが、手術時間、費用、術後治療期間、角膜の透明性や再発率など結果は報告により様々である。この論文では、層状角膜切除術の補助的なシアノアクリレート接着剤の使用を評価することを目的としている。結果として、87%(14/16眼or頭)の症例で再発と重大な合併症を認めなかった(フォローアップ中央値17.5ヶ月)。この論文で報告されている手技の治療結果に関しては、手術手技や術後管理また症例の母集団などの違いにより、既報と比較することはできない。本文中にあるように、この手技は壊死片が角膜厚のおおよそ25−75%までの深さに存在している症例に適応したとしている。後ろ向き研究であるため、このような症例選択などバイアスが結果に関与している可能性が高いことは忘れてはならない。しかしながら、この手技では手術時間が短く、低コストで、簡便であるというメリットがあり、ネコの角膜壊死症に対する外科的処置のオプションの一つになりうるかもしれない。
研究デザイン:後向きコホート研究