猫の涙腺と瞬膜腺切除によるシルマーティア試験の結果への影響

Effect of removal of lacrimal and third eyelid glands on Schirmer tear test results in cats

猫の涙腺と瞬膜腺切除によるシルマーティア試験の結果への影響

McLaughlin SA, Brightman AH, Helper LC, Primm ND, Brown MG, Greeley S. Effect of removal of lacrimal and third eyelid glands on Schirmer tear test results in cats. J Am Vet Med Assoc. 1988;193(7):820-822.   PMID:3192460

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正常猫10頭のシルマーティアテストⅠ法とⅡ法の結果はそれぞれ16.2 ± 3.8 mm/min、13.2 ± 3.4 mm/minであった。左眼の涙腺と瞬膜腺の外科的切除はシルマーティアテストⅠ法の値を低下させた。 涙腺と瞬膜腺を両方切除するまでKCSの臨床症状は認められず、その時点でシルマーティアテストⅠ法の値は、ほぼ0mm/minであった。この結果は、副涙腺(Krause腺とWolfring腺)は、猫では涙液の産生にほぼ寄与していないことを示唆している。


Experimental Design Prospective controlled study
P 正常猫10頭
I 片側がん(左眼)の涙腺か瞬膜腺の切除、及び両腺の除去
C 外科手術をしていないの右眼と処置前の左眼
O シルマーティアテストⅠ法とⅡ法の値

 

コメント

この研究では、涙腺の切除によりSTT-1の値は23-46%低下し、瞬膜線の切除ではおよそ12−26%の低下が見られました。猫の涙腺か瞬膜腺どちらかの切除では、KCSの臨床症状は見られなかったことは注目したい点です。この研究では、涙腺か瞬膜腺の切除後27日後にもSTTを実施していています。その結果では、涙腺の切除27日後で、切除後1日目と比較して、STT値の増加が認められたことから、瞬膜線が涙腺の切除による涙液の低下を補っているのかもしれないと考察がされています。この研究のLimitationとしては、サンプルサイズが小さいことがあげられます。ベースラインのSTT1の値のバラツキを見てもわかるように(例:平均16.3±標準誤差4.2)、猫での涙液量の測定の解釈は注意が必要でしょう。

 

 

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