犬の結膜と角膜に対する涙腺切除の影響

The effect of lacrimal gland removal on the conjunctiva and cornea of the dog

犬の結膜と角膜に対する涙腺切除の影響

Helper LC. The effect of lacrimal gland removal on the conjunctiva and cornea of the dog. J Am Vet Med Assoc. 1970;157(1):72-75. PMID:5421413

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要約

3頭の犬の片側眼の涙腺を切除し、定期的な眼検査とシルマーティア試験を8−13ヶ月にわたり行なった。涙腺を切除した眼は正常で、シルマーティア試験の値は対側の無処置眼よりわずかに低かったものの、正常範囲内であった。

(Table 1より 外科的に涙腺を切除した眼と未処置対側眼のシルマーティア試験の値の比較)


Experimental Design Prospective non-randomized control trial
P 明らかな眼症状のない健常犬3頭
I 外科的な涙腺切除
C 未処置対側眼
O シルマーティア試験の値

コメント

犬の涙腺がどの程度涙液量・眼表面の状態に寄与しているかを調べた古い文献です。処置群と未処置群はそれぞれn=3でサンプルサイズは小さいです。このような実験は生体内In vivoでの涙腺の役割を調べるのに優れた方法ですが、動物倫理の観点から現在犬では実施が難しくなっているのと思います。獣医眼科学の教科書・成書に載っているような解剖学的・形態学・生理学的な記述は、このような十数年前の研究がベースになっている事が多いです。タイトルでは、犬の涙腺切除による角膜と結膜に対する影響とありますが、どのような眼科検査を行ったのか(生体染色の有無は?それとも視診のみ?)は記述がなく、角結膜は正常であったとする結果の解釈は注意すべきです。むしろ、シルマーティア試験の値の変化に焦点を当てて報告しています。

 

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