猫の眼瞼内反症: 50頭のケースシリーズ(2003-2008)

Feline entropion: a case series of 50 affected animals (2003-2008)

Williams DL, Kim J-Y. Feline entropion: a case series of 50 affected animals (2003-2008). Vet Ophthalmol. 2009;12(4):221-226. PMID:19604337

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目的

50頭の猫の眼瞼内反症のシグナルメント、臨床症状、発症因子について評価すること。

方法

眼科紹介病院に来院した眼瞼内反症の猫50症例のシグナルメントおよび病歴を評価した。動物は直接および間接検眼鏡、細隙灯生体顕微鏡検査で検査した。動物はHotz-Celsus法によって外科的に治療し、外科手術の結果は術後4-22週の間で評価された。

結果

16頭の猫は若齢(平均年齢4.1 +/- 3.6歳)であり、眼球表面に刺激性がある状態、例えば結膜炎、角膜潰瘍や角膜壊死症を伴っていた。26頭の猫は比較的高齢(平均年齢11.3 +/- 2.2歳)で、眼窩組織が減少した結果生じたものと推測される老化による退行性の眼瞼内反症が存在した。眼球陥凹は伴うものと伴わないものとがあった 。5頭の猫はペルシャ猫であり、短頭種の顔面解剖に関連した眼瞼内反が存在した。一方、3頭は全て若齢成雄のメイン・クーンであり、過剰な顔面の顎・頬組織に関連した眼瞼内反を伴うものであった。大半の症例は1回の外科手術で治癒したが、整復のためには犬での同様の手術と比較してより多量の眼瞼組織を除去する必要があった。

考察

本研究では、猫の眼瞼内反症が、若齢動物では結膜炎あるいは角膜潰瘍のような刺激性の原因に関連した持続的な眼瞼痙攣の結果として、高齢の動物では眼瞼の弛緩や眼球陥凹のよって発生する可能性があることを示した。眼瞼の内反はまた、ペルシャ猫およびメイン・クーンにも認められた。


Experimental Design Case Series
P イギリスの眼科紹介病院に来院した猫50頭
I Hotz-Celsus法
C
O 眼科検査所見の記述。

コメント

若齢の猫では角結膜疾患に関連した眼瞼内反症が起こっているのに対し、老齢の猫では老化に関連した眼窩組織の減少による眼球陥凹や眼瞼の弛緩によって、眼瞼内反が発症していると本研究では結論づけています。Hotz-Celsus法を実施後7頭で再手術の必要性があったと述べていますが、フォローアップ期間やなぜ再手術に至ったかは記載がありません。研究の欠点(限界)としては、複数のバイアスのリスクが存在することが挙げられます。

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